では、第1に引き続き、第2文型の話をしよう。C(補語)という要素が加わることで、なにがどうちがってくるのか?

 2.第2文型:S+V+C(主語+動詞+補語)

 この文型の典型的なヤツが、This is an apple. である。このS+V+Cの最も特徴的な性質は、S=Cという数式が成り立つことである。This = an apple であることは、誰の目にも明らかである。I am a doctor. でも同じ。

 基本形としては、ここで来る動詞はbe動詞であるCには、名詞が来てもいいし、形容詞がきてもいい。「これは、バラです。」「このバラは、赤いです。」この両パターンが成立する。

 I am a doctor. の代わりに、I am happy.でもいいということだ。I = a doctor. I = happy. 要は、S=Cである。そういう同格なものをつなぐ動詞がbe動詞である。

 現在進行形も、これに近い感覚だ。I am running. I = running. happy は気持ちの状態を表わしているが、runningは走っているという肉体動作の状態を表わしている。動詞 ing は、現在分詞という呼称が使われるのが常だが、こういうアプローチをすると、それは動詞の形容詞化と言っても問題ない。いや、そう解釈すべきが妥当だ。

 これに似た形でもっとわかりやすい一例が、The story is interesting. であろう。「その話は面白い」ではあるが、interest は元々動詞(名詞もあるので注意)である。「興味を持たせる」とか「関心を引く」という意味だ。
 ing形になって、runningが「走っている」になるように、「興味を持たせている」という意味になる。これも、S+V+Cの一つの形だと、俺は考えている。

 最近よく耳にするようになった amazing! というのも、interestingと同類である。amaze は「面白がらせる、魅惑する」というような意味の動詞だ。ワンダフル!というより、アメイジング!のほうが、今風である。

 因みにここで出した、interest や amazeは動詞としては、「他動詞」になるので、The story interests. とか、It amazes.という風にはならない。必ず、興味を持たせた相手=誰をに当たる情報(目的語)が必要になる。これが次に出てくる第3文型。

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 五感動詞(命名by俺)

 さて、基本形では be動詞が来ると言ったが、実はそれだけではない。be動詞に置き換わることの出来る動詞群がある。その一つが、「五感動詞」だ。「知覚動詞」というのが文法にはある。それと被るところはあるが、若干違う。なので「五感動詞」とした。今俺がつけた呼称である。他所で使わないように。ワラ。

 即ち、「見える」(「見る」ではない)、「聞こえる」(「聞く」ではない)、「味がする」(「味わう」ではない)、「臭う」(「臭いを嗅ぐ」ではない)、「感触がする」(「触る」ではない)の5種類だ。つまりは「五感動詞」である。(括弧内は全部、他動詞の表現)

 では、一つ例を挙げておく。

  It looks bad. (何かを見て、それあまり良くないかも、というニュアンス)

  It souds bad.  (何かを聞いて、それあまり良くないかも、というニュアンス)

  It tastes bad. (何かを食べて、これまずいかも、というニュアンス)

  It smells bad. (何かの臭い、多分クサヤを嗅いで、臭い、というニュアンス)

It feels bad.  (何かを触って、肌触りが悪いとかいうニュアンス)

 これらの「五感動詞」は全部、be動詞に置き換え可能ということを頭に入れておくといい。しかし、It is bad. と「それは悪い」と言い切るより、「それ、悪くね?」くらいなニュアンスを入れることが出来るから、使い勝手がとてもいい動詞君達である。これを意識して使えると、「おぬし、出来るな」となってくる。「うふっ」ポイントである。

 badのところは、good, nice, interesting, soft, hardなど色々な形容詞を当てはめることが出来るので、表現の幅は大きい。

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 ところで、この五感動詞の中で、一つだけ変わり者がいる。それが、feel だ。これは、人の心の中の状態=気持ちを表現することが出来る。よって、主語は人でもOKだ。

 即ち、I am happy. を I feel happy. と置き換えることが可能である。be動詞だと、その状態がずっと続いている感じがする。
 が、feel happy ならば、何らかの外部からの刺激を受けて「幸せ」というニュアンスになる。

 How do you feel? と訊かれたら、オウム返し的に、Well, I feel so happy. とすればいい。美味しいモノを食べて、「とっても幸せ~」というのは、これである。

 happy以外には、good, sad, tired, sick, down (落ち込んでいる)などがよく使われる。

 変身動詞(命名by俺)

 さて、S+V+Cの形で、もう一つbe動詞と置き換わることのできる動詞群が、「五感動詞」以外にある。これを俺は、「変身動詞」と名付ける。「SがCになる」という意味を持つ動詞である。他所で使わないように。ワラ。

 become, get, turn などだ。もっとあるかも知れないが、今は思い出せない。ワラ。どれも、日本語訳的には、「~になる」という意味だ。be動詞だと静的状態を表現するが、こっちは、移り変わり(変化)を表現する。

They become red.

They get red.

They turn red.

 これらはどれも、「それらは赤くなる」という意味だ。葉っぱが紅葉したときには、こんな感じの表現が似合う。

 becomeに限っては、形容詞だけでなく、名詞もOKだ。例えば、He became a doctor. 「彼は医者になった」といういい方も可能。get, turnではこれは出来ない。ややこしくなるので、「変身動詞」はここまでにしておく。

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 もうひとつ、S+V+Cの文型でこれに触れておく。be動詞を使うパターンで、「~にいる・ある」という表現がある。

 「ジェイクロはどこだ?」なんて誰か呼んだとき、「俺はここだ!」と返事をする場合、I am here! と言う。I とhere は「=」ではない感じもするが、これは I に「俺のいる場所」という意味が含まれていると解釈すればいい。

 Where are you now? に対して、I am in the JayKuro shipping mall. とか言えば、自分のいる場所を説明できる。
 また、in の代わりにat を使うと、居場所はピンポイントになる。I am at the corner of KFC.「ケンタのところにいる」と言う具合だ。

 これは余談で、アメリカ人のオジサンに聞いた話なのだが、「今どこにいる?」と訊く場合、Where are you? とするのは上でも書いたとおりだが、Where are you at? と at を最後に付けてはいけないと、子供の頃、親に躾けられたそうだ。その返事が、I am at ~. となったとしてもだ。

 その理由は訊かなかったが、おそらくこの「at」には、非難めいた語調があるのだろう。母親が電話で子に向かって、「あんた一体どこにいるのよ!」と言っている情景が想像される。


 Here is/There isの形って何だ?

 これに類する「~がどこにある」の表現に、Here is/There is~というのがある。例えば、Here is a big box. 「ここに大きな箱がある」と表現する場合だ。
 
 これは特殊な表現法なのだが、元はと言えば、A box is here. 「箱がひとつここにある」であって、これが倒置 (SとCがポジションチェンジ)して、Here is a box. となったのである。
 
 何故かというと、「箱がここにある」ことが言いたいのではなく、「ここにあるのは、箱だ」と言いたいが為である。「ここ」が問題なのではなく、「箱」という情報が重要なのだ。

 同様に考えると、Here is a map. は、「ここに、地図がある」である。これに対し、The map is here. というと、「地図はここにある」で、「地図はどこ?」に対する返答的な表現となる。 

 或いは、There are many people in the shopping mall. は、「ショッピングモールには沢山の人がいる」なのだが、in the shopping mallというふうに、thereの具体的な場所を付け足して表現するのがパターンだ。

 hereは「ここ」なので、場所を特定するまでもないが、「そこ」となると場所を特定しなければならない。よって、付け足すのである。
 この場合、Many people are in the shopping mall.という表現(I am here. と同じ形)も可能だ。
 ただ、沢山の人がいるというのが前提で、そいつらはショッピングモールにいた、というニュアンスになる。

 次回は第三文型の話をする。



 これは上級者・英語教師向けの趣であるが、歴史から何故英語はこうなったというアプローチは、新しい英語の世界を見せてくれる好著。歴史読み物としてどうぞ。ワラ。